今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2009年5月号
- 料理自慢の観光ホテルです、最近、大型ホテルの料金引き下げ攻勢で、客足が目に見えて落ちています。割烹旅館として自負しているだけに客単価を下げることには、挫折感があります。
- 現在、客単価1万円とですが、大型ホテルの7千円という宿泊料に比較すれば、いくら、料理自慢と云っても、価格に敏感な顧客さんに敬遠されるのは、やむを得ません。
一、利益の前に固定費のクリアーを
さて、大型ホテルの価格は、いつも安くしているわけでは無く、季節や曜日等によって、頻繁に、変更しているのは何故でしょう。
ホテル経営は、ホテル自体の設備投資が多額で、顧客の有る無しにかかわらず、減価償却費や設備の維持管理費、最低限必要な人件費や光熱費、冷暖房費、支払利息等の固定費がコストの70 %以上を占めています。
しかし、反面、顧客数と比例的に増減するコストである食材費、消耗品、清掃費等の変動費の割合は低いという特徴があります。そこで、当社の分析をすると、食費は、宿泊代金の概ね16%前後、その他の消耗品、清掃費など客数によって変動する諸経費を含めても、変動費の割合は、宿泊代金の30%前後です。
このようなコストの構成は、大型ホテルでも同様です。そこで、顧客さん1人を基準にして考えてみると、先ず、食材費を中心とする変動費が支出され、その後、宿泊料金が、変動費を超えた部分が固定費の消化に充当されます。
客数の増加に伴って固定費が、消化され、固定費が、全額消化された後で、なお、客数が増加すると、やっと利益の顔を見ることが出来る仕組みです。
この質問の結論は、閑散期には、変動費を下限に、たとえ、利益率が下がっても、固定費の消化に貢献できれば、空室にしておくよりは、良いということになります。一見、損をしたようにみえても、何れ、利益に反映してくるからです。
- 料理の内容を、少し落として対応します
- 安く売っても料理の質を落としたのであればサービスしたことにはなりません。宿泊費1万円での食材費は16%(1、600円)ですから、例えば5千円で宿泊しても1、600円の食材を使うことによって、顧客は感激するわけです。
二、質の低下で対応しても、安くしたことにならない
スーパー等のタイムサービスでも同様で、刺身や、総菜は新鮮さが価額を決めており、日持ちのしない商品を一定時間経過後に値引き販売をしても、単に、その価値に見合った価額で販売しているに過ぎません。
※上記の相談は、当事業所に寄せられる数多くのご相談の内の一つです。当事業所では、様々なケースのご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。