今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2014年11月号
一、月次試算表作成のルールづくり
そのためには、月次試算表は、毎月二十日までに作成するなど、社内のルール化が必要です。その前提としては、社内で会計帳簿と試算表を作成する体制(自計化といいます)をつくることが必要です。
帳簿作成を会計事務所に依頼している場合も、何日までに月次試算表を作成するよう契約しておくことです。
二、月次試算表で何を伝えるか
金融機関に対して月次試算表を提出することは、会社の現状を認識してもらう大切な機会ととらえ、次のようなポイントを説明します。
(1)前期決算報告書や当年度経営計画との接点を基準として説明する
金融機関が一番関心を持っているのは、直前期決算報告書や当期の事業計画書とのつながりです。
売上高の前年同月比や計画値と比較しての増減額、売上原価や一般管理販売費などについても、人件費や主要項目について増減理由も含めて説明します。
(2)三カ月ごとに出口予想をします
もう一つ大事なことは、月次試算表の数値を土台にして、当期の決算予想が説明できることです。
そのためには、月次試算表作成に次のような予測数値を加味する工夫が必要です。
【1】決算時の減価償却費予想額を計算し、月割り額を試算表に反映。
【2】年間の賞与額、予想される経常的な修繕額なども月割り額を配賦。
【3】棚卸資産についても当月末推定在庫で増減計算を反映させます。
三、業績の悪化が予想される場合の対応
業績悪化で今期決算は赤字が確定的であっても、金融機関に対してあまり早い時期から手の内を見せるのは考えものです。業績悪化が見えてきた段階では、具体的にこのような改善策をとっており赤字転落の回避は可能である旨説明し、決算までの道筋を示していきます。
決算日が三カ月程度に迫った段階で決算予想数値を示し、抜本的な改善策とそのためのロードマップを提出し、支援を依頼します。
四、金融機関が最も知りたいのは資金繰り
金融機関が月次試算表の提出を求める理由は、当期利益の予測と資金状況の把握です。資金状況の把握は、流動性預金の残高で確認しますが、月商の二カ月程度は欲しいものです。また、運転資金の状況は売上債権や棚卸資産の増減、買掛債務の増減、借入金の返済状況などから把握するわけです。
月次試算表の提出と同時に今後四カ月程度の資金繰り表も提出すれば親身になって相談に乗ってくれます。