今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2010年1月号
- こんな不況の中では、どんな工夫をしても業績を上げることは困難です。
- 100人が100人「駄目だ、駄目だ」の大合唱ですが、少し着眼点を変えることによって売上を伸ばしている企業も多いのです。
一、メニューづくりの前に人づくり
「すすきの」といえば、不景気の代名詞のようにいわれますが、繁盛しているお店も結構あります。これら繁盛店の経営者に繁盛の秘訣を質問すると、答えは、ほぼ、一致しているのです。
それは、料理でもなく、内装設備でもなく、一番力を入れているのは従業員教育の徹底です。
従業員さんが、それぞれの顧客さんにあわせた適切なマナーで(チエーン店の機械的な応対とは違いますよ。)フレンドリーな応対と話題の提供でいかに居心地を良くすることだと言っています。
値段とメニューを第1に考えている大多数の経営者の考え方と大きな差があり、力を入れている順番が違いますね。
美味しい料理の前に居心地を良くする人づくりが第1だといっているのです。
二、利益は、商品からではなく、人から
「箱から人への転換」という言葉を耳にしますが、「商品からだけではなく、人から利益をとる」と言うことはどういうことでしょう。
中古車販売業も不況で四苦八苦している業界です。しかし、そのような中で、利益を上げている企業もあります。その企業のモットーがこれです。
1台の中古車の販売から、いくらの利益を上げるかという視点でなく、1人の顧客さんからいくらの利益を上げるかを目標としているのです。
たとえば、1台の車を売ることにより、その直接の利益は、もちろんありますが、同時に、車の所有を通じて発生する保険、車検、オイル交換、事故処理、修繕、点検、タイヤ交換、次の買替えなどを蓄積した800件の顧客データーベースを情報源に、今日もこまめに走り回っています。
三、売上ではなく、利益です
年商5億円の建設業があります「公共工事が減って、どうしようもないよ」とおきまりの返答が帰ってきます。しかし、コスト分析をしてみると、売上の60%を占めている公共工事からの利益は、わずか500万円です。
反面、受注額では、40%しかない民間工事からの利益は3千万円もあります。また、元請工事、下請工事別で分析してみると、公共工事も民間工事も下請工事も利益はほとんどありません。
したがって、この企業が目標とすべきは、元請けによる民間工事です。
しかし、何の準備もなく、経営者は、頑なに公共工事の復活を念じているのです。