今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2010年8月号
- 婦人服販売業です。A社製品は売り足は速いが利幅は薄く、B社製品は売り足が遅いが利幅が高い。どちらを選択すべきですか。
- 通常、低価格品は客数が多い(売り足が速く)反面、利幅は低く、高級品は売り足が遅い分、利益率は高いという原則があります。
一、前提条件を置かず、利益のみを判断基準とすれば、時間あたりの利益額によって比較することが出来ます。
たとえばB商品は、1点あたり1万円の利益で1時間に1点の販売、A商品は、1点あたり2千円の利益だが、1時間あたり6点の販売が出来れば、獲得利益は1万2千円ですから、A商品を取り扱うことが良いという結論になります。
二、発注から入荷までの時間差にも注意
更に、発注から入荷までの時間差も検討する必要があります。たとえば、高級品であればあるほど、発注を受けてから製造に入る場合が多く、入荷までの時間を検討しておく必要があります。
しかし、普及品は、ほとんど見込み生産ですから、発注次第、直ちに入荷しますから品切れによる機会損失の発生が少ないし、商品の回転が速いことは、時期を失して売れ残り品をつかむ危険性も低くなります。
三、情報の時間差にも敏感に
婦人服販売は、季節、気候、流行に大きく左右されますから、売れ残りの危険性がある商品についての見切り販売(マークダウン)時期の判断がきわめて重要です。
もし、売れ残った場合、流行遅れの商品は、全く価値がありません、季節商品だから来年まで在庫しておくと言っても、来年に売れる保証は、全くありません。
従って、マークダウンの時期と判断したら、競合店に先駆けて行うことが、利益の獲得に大きな影響を持ってきます。
四、商品回転の時間差で稼ぐ
販売業では、利益の上がる商品の選択に交差主義比率がよく使われます。取扱商品別に次のような計算式で判断します。
「交差主義比率」=売上総利益率×商品回転率 例えば、A商品が売上総利益率10%、月平均の商品回転率15回(2日で全部売り切れる)とすれば0.1×15=1.5となります。
一方、B商品の利益率は50%であるが、商品は、1ヶ月に2回、回転する場合、0.5×2=1で、A商品の貢献利益が大きいと判断します。
また、回転の速い商品は、利益が小まめにもたらされる結果、その利益が、次の商品仕入れに転換されることにより、更に、利益を生み出すという利益の増殖連鎖という結果も生み出すのです。