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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2012年7月号

大増税時代に入ったと覚悟していますが、相続税も大幅に増税になるそうですね。
「子孫に美田を残さず」という教えがあります。

一、遅遅として進まぬ中小企業の相続対策

「子孫に美田を残さず」という教えがありますが今回の「税と社会保障の一体改革」の中で相続税の増税が図られています。具体的には、次のような内容になっています。

(1)相続税の基礎控除が5千万円から3千万円に圧縮され、更に相続人1人あたりの基礎控除額も1千万円から6百万円に引き下げられます。
(2)最高税率もこれまでの50%から55%に引き上げらます。
(3)居住用小規模宅地等の評価減の特例が、親と同居していたかどうかで、評価方法が見直され、結果として相続税負担が増えるなどのケースも出てきます。

このような改正内容を考えると、相続税が一部の富裕層の問題から、これまで相続税とは無縁の中堅層へも広がったと考えられます、一昔前に「どんな大金持ちでも相続が3代続くと住んでいる家以外は無くなってしまう」など相続税の重税感を嘆いた時代がありましたが、今回の改正は、中堅どころのサラリーマンも相続税に無縁では無くなったと言うべきです。

一方、中小企業庁の調査によれば、中小企業経営者の平均年齢は58歳、経営者の引退予想年齢は67歳とされており、この統計から言えば、平均年齢から引退年齢の差、9年間の間に事業承継が完結していなければならないことになります。

しかし、事業承継が出来ていない企業は57%に及ぶことが指摘されています。

万が一、この間に相続が発生すると、事業承継問題と高額な相続税対策に遺族や従業員の皆さんが右往左往する事になると心配されます。

二、事業継続のパターン

勿論、多くの経営者も、ただ傍観しているだけで無く、心配をされていることは想像に難くありませんが、消費税増税の陰で隠れている相続税増税を契機に真剣に検討する必要があると考えられます。

しかし、事業承継に頭を痛めていると言っても、究極のところ事業承継は次の4つのパターンに絞られてきます。

(1)親族承継型
(2)親族外の役員、従業員への承継型
(3)第3者への売却、営業譲渡等M&A型
(4)会社の清算、廃業型

最近では、会社の整理、廃業型が増加していますが、この場合は、事業の将来性が見込まれないことや資産の処分で借入金の返済や買掛債務等決済の資金繰りが可能であれば、債務超過状況に陥らないタイミングで早めに決断することが重要です。

来月以降、事業承継問題を継続して取り上げていきたいと考えています。

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