今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2010年12月号
- 1年ほど前に、取引金融機関に中小企業金融円滑化法に基づくリスクを申込み、1年間の返済猶予をして頂きました。しかし、本年の3月から、当初契約通りの約定返済に戻ることになりますが、業績も資金繰りも回復せず、返済をする余裕がありません。
- 基本的には、猶予期間経過後の約定返済額が困難な企業は、すべての借入金の一括弁済が原則です。
一、本年前半の資金情勢は厳しい。
最近、同じような相談が頻繁にあります。また、これまで、緊急融資制度として利用できた「セーフティネット融資」も3月末をもって廃止されると云われています。
道内は、もともと、1月から3月までは、経済活動が停滞する時期であり、経済環境が悪い中で、このような金融情勢を迎えるわけですから、苦境に陥る中小企業が続出する可能性が高いと憂慮しています。
考えてみれば、ほとんどの中小企業では、返済免除を受けているわけでは無く、借入元金の返済猶予期間を受けただけであり、過剰な借入債務負担という根本的問題が解決がされたわけではありません。
二、返済猶予期間中にどんな努力をしましたか
1年間の返済猶予期間は、この間に、売上高の増加やコスト削減による利益の確保、遊休資産の処分など、業績や資金繰りの改善を行うことが期待されていました。
残念ながら、大部分の中小企業では、何ら改善に手をつけること無く、他力本願的に景気の回復を待っていたといえば過酷でしょうか。
確かに景気が悪いことは、事実ですが、 札幌市においても4社に1社は、利益を出していますし資金繰りにも余裕があるといわれています。悪ければ悪いなりに努力することが求められています。
三、返済猶予期間を延長できるか
この回答は、極めて厳しいと云わざるを得ません。基本的には、猶予期間経過後の約定返済額が困難な企業は、すべての借入金の一括弁済が原則です。
しかし、そのような企業が続出したとすれば、政策的にも、何らかの対策を講じなければならないとは考えられます。
仮に、そのような事態が生じた場合、今度は、自分の企業と真正面に向き合い、どのように業績を回復できるかを真剣に考え、金融機関に支援を臨む以外に方法は無いと考えられます。
それは、単に、一律に制度化されるのでは無く、金融機関としても、ケースバイケースで対処し、現在、金融円滑化法で求められている、ある意味では、形式的な改善計画ではなく、本当に実現可能な対策と経営者のやり遂げる決意が試されると思います。