今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2011年5月号
- 最近、会計セミナーで、限界利益で損得計算をする事が重要だと聞きましたが、よくわかりません。
- 会計の世界では、「会社法」や「中小企業会計指針」など科目の配列や内容、様式などが明確に定められている決算報告書等を制度会計といいます。
一、制度会計と管理会計、戦略会計
会計の世界では、「会社法」や「中小企業会計指針」など科目の配列や内容、様式などが明確に定められている決算報告書等を制度会計といい、予算統制など計画と実績のチエックを目的としている管理会計や経営戦略を検討する手法である戦略会計などに分けられます。
管理会計や戦略会計は、外部に公表するものでは無く、専ら、社内での活用を目的としているため、作成手法等は企業の任意とされています。
その戦略会計の最初の入り口が損益分岐点分析と言われる手法です。
二、そもそも損益分岐点売上高とはなに
A.ご質問の限界利益の前に、損益分岐点売上高の意味を理解する必要があります。
Q.決算書でも、もてあましているのに、勘弁して欲しいよ、更に難しそうですね。
A.簡単ですよ。その企業が赤字にならないための最低限の売上高はいくらかと言うことです。逆に言えば、そのハードルを越えなければ利益が出ない、ぎりぎりの売上高です。「利益=売上高-総コスト」利益は総コストが、売上高を超えて初めて利益が出ます。「総コスト=変動費+固定費」に分解されます。
Q.セミナーでは、売上高に連動して増減するコストを変動費、売上高とは連動しな固定的なコストを固定費と聞きました。
A.変動費は売上の必然コストです。代表的な変動費は、材料費や仕入コスト、外注費などで売上高を上げるためには必然的に発生するコストです。従って売上高と変動費の関係は、次のように計算されます。
「売上高-変動費=限界利益」
Q.ようやく限界利益が出てきましたね。
A.限界利益の役割は、固定費のカバーです。固定費は売上高に関係なく、主として時間の経過に伴って発生するものであり、自分自身では、利益を生み出す仕組みをもっていませんから、変動費によってもたらされた限界利益でカバーしてもらうしか方法は無いのです。限界利益が、どんどん増加して固定費のプールが一杯になると、その段階で、ようやく利益として蓄積されることになります。
三、変動費と固定費の振分け
損益計算書等のコスト科目を変動費と固定費に分けることから始めますが、この振分け方は、参考図書等で勉強してください。
来月は、その活用を中心に戦略と言われる所以を検討してみましょう。