今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2010年2月号
- 飲食店ですが、客単価を下げて戦いたいと思っています。
- 単価引き下げで失った利益が、客数増加によってカバーできるかが判断ポイントの一つになります。
一、顧客は常に安さを求めている
販売単価引き下げを販売戦略とするためには、単価引き下げで失った利益が、客数増加によってカバーできるか、また、もう1つの選択肢として、喪失した利益が、コスト削減によって回復できるかどうかが判断のポイントになります。
この条件が満たされないままに単価引下げ戦争に突入すれば、破綻は時間の問題となります。
先日、「飲み放題、食べ放題で3千円」のキャッチフレーズに釣られて入店したところ、1品、1品の料理は小さく、さらに、どの料理にも、マヨネーズやオイルがかけられ、食材の素顔が見えない上に、高めの料理は、オーダーしても、時間がかかり、最後には、とうとう時間切れになってしまいました。
その後の顧客の感想は「安いから仕方がない」と思うでしょうか。「あんな店には行くな」という宣伝だけが伝えられます。「この値段では、これで手一杯です」というお店の言訳は聞き入れられないのです。
- 仕入れロットを増やし、コスト削減による利益の確保を図りたい。
- 経営戦略の1つとして検討すべきテーマです。
二、在庫管理は、売上が前提となる
製造量を増やしたり、仕入れロットを増やし、単価あたりのコストを下げて利益を創出することは、経営戦略の1つとして検討すべきテーマです。
しかし、この原則には、大事な前提条件があります。作ったもの、仕入れた商品がすべて売れることが前提となっています。
しかし、現在のような不況期では、この条件がカバーされることは、極めて困難です。販売計画は常に下方修正を余儀なくされるからです。
販売出来なかった商品ロスと、ロット数増加による削減コストの比較検討がが必要なのです。
在庫管理と1口にいっても、商品がなければ、売れないし、売れ残っても困る。売れることを前提とした在庫のコントロールは、言うほど簡単ではありません。
- 全員をパートにしてコスト削減を図りたいと考えています。
- 直接、価値を計算できない人的要素が経営基盤を支えています。
三、人件費を減らせば利益が出る
製造業等においての技術の伝承とか販売業における商品知識、接客サービスなど、実際の現場では、直接、価値を計算できない人的要素が経営基盤を支えています。
コスト面だけで、このような経営基盤を崩すことには、問題があります。
従って、この回答は、短期的視点での利益確保か、長期的視点での利益確保か、経営戦略選択の問題に置き換えて考えることが必要です。