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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2018年2月号
労働環境の大転換期を迎える(2)
残業時間の削減に取り組む

Q.働き方改革の中でも当面の課題は恒常的な残業時間の削減につきると思いますが、どのような視点から取り組むべきでしょうか。

確かに働き方改革の当初は「名ばかり管理職」や電通事件などに象徴されるように恒常的長時間労働の是正が中心でした。さらに人手不足対策や経済成長戦略の一環として生産性向上問題などが加わり、全体が―つの塊となっています。しかし、その中心課題はいかにして恒常的な残業時間を削減するかです。

1、残業時間対策は企業全体の意識改革

残業時問対策は、経営者の意識問題、中間管理層の管理力、実際に業務を行っている現場従業員個人の意識改革と同時に、それらが一体化されている経営風土や経営組織改革の問題に深く関係しています。また、さらに顧客を中心とする取引慣行の見直しなども含めた多面的なとらえ方が必要です。

2、経営風土を打ち破る

(1)経営者自身の意識改革がカギを握る

働き方改革が労働時間や労働の場の自由化時代に突入したことは、これまでのように「雇ってあげる」という発想から「従業員一人ひとりに生きがいが感じられる場とやりがいのある時間の提供」に変わることを意味しています。

最近、道庁で内定している新卒者のうち辞退する人が半数を超えるなどの情報がありましたが、数年前にこのような事態を予想できた人が何人いたでしょうか。自分の会社は大丈夫だなんて高をくくっていると、ある日突然「そして誰もいなくなった」なんていうアガサ・クリスティの推理小説の世界に迷い込むことになりかねません。残業時問削減対策も経営者自身が先頭に立って、不退転の決意を持って取り組んでいる姿勢を全員に見せることが第一歩です。

しかし、実際に取りかかってみると現状維持バイアスに取りつかれている人たちと企業風土という分厚い岩盤に幾度となく跳ね返されるでしょうが、全員の理解を得るまで頑張り続けましょう。

(2)管理職の厚い壁を破る

残業時間削減の成否は中間管理職が握っていると言っても過言ではありません。日常の業務内容も実際に従事している従業員のことも現場の管理職がよく知っているからです。しかし中小企業では、ほとんどが永年その企業に勤務し、現在の企業風土や社内制度を築いてきた当事者ですから、その価値観を根底から変えるということは想像以上に大変です。

①部下を大切にすることは甘やかしにつながる
②人を鍛えるには激しく追い込むことが必要だ。自分自身もそうしてきた
③理屈なしに自分自身の経験を押しつける
④滅私奉公こそが企業人の努めである
⑤すべての時間は会社の仕事につぎ込め

このような管理者に単に時間外労働削減だけを指示すると次のようなことになりやすいのです。

①部下にサービス残業を強いるため、むしろ間題が潜行して複雑化してしまう
②自分自身が極限まで残業することで部下の残業時間を削減する
③できない部下よりできる部下に多くの仕事を割り振る
④自分の裁量で採用できるアルバイト、派遣社員を増やす
⑤フルタイム勤務できない社員を冷遇する
⑥部下が育児休暇や有給休暇を取得することを嫌がる

このような事態を避けるためには徹底した話し合いによる納得と小さな成功例を積み重ねて見える化していき、管理者層の意識を変えていくことが成功の近道だと考えられます。

次回は、現場の残業時間削減の具体化を検討します。

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労働環境の大転換期を迎える(2) 残業時間の削減に取り組む
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