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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2017年6月号
残業を減らせーどこから手を付ける(1)

数年前、主力銀行から借入金の返済猶予をしてもらったことがあります。その後、業績も回復し、売上高も当時から4割ほど上昇、増加運転資金の申し込みをしていますが難色を示され困っています。

1.事業の成功モデルが真逆になる時代

企業は人手不足と賃金上昇、さらに追い打ちをかけるようにサービス残業撤廃、時間外手当の支給徹底など事業の仕組みそのものの見直しに迫られています。この問題は中小企業のみならず上場会社なども24時間営業や宅配便制度など、これまで成功の事業モデルといわれた基本的な仕組み自体を全面的に見直さざるを得ず、われわれの日常生活にも大きな衝撃が広がっています。人口が確実に減少していく時代に突入した深刻さを思い知らされます。

2.経営者の強い意思表示が第一歩

残業時間削減が、社内に単なるコスト削減と認識されると職場のモチベーションが下がりプラスにはなりません。この問題の根本は、これまで労使一心同体的な意識によって経営組織や人間関係が築き上げられてきた企業風土の見直しが必要だからです。特に中小企業では、そのようなある意味「なあなあ」な雰囲気が強みになって経営が支えられて来た面も否定できません。しかし、これからの慢性的な人手不足時代を乗り切るためには従業員個人個人の健康維持や生活の質を上げることが会社の繁栄を支えるというようにパラダイムシフトの転換が起こっており、これまでの企業文化や経営組織、仕事の取り組み姿勢などを根本から見直すことが必要です。

従って経営者だけでなく、従業員や取引業者など全員を巻き込んだ全社的な取り組みが必要です。経営者の強いリーダーシップのもと、残業時間削減目標や目標達成までの具体的スケジュール設定などに積極的に取り組みましょう。

3.残業の実態を自分の目で見ましょう

まずは、現場の実態を把握し改善策を現場で議論しましょう。社長、役員の関心は、売り上げやコスト、利益の動向などであり、労使関係ではベースアップや賞与の支給額などを中心としており、中小企業で残業時間や職場環境などが真剣に討議されることはほぼ無いというのが実態です。ここは本腰を入れて現場の実態を自分の目で見て把握しましょう。

(1)どこの部署の、誰の、どのような仕事が残業の原因になっているかを確認します。

(2)製造業では、モノの流れに人手が加えられて進行します。材料の発注、搬入、製造工程、品質検査、包装、在庫、発注、配送と流れていきます。一方、販売の方から見ると、営業活動、見積もり、発送、納品、請求事務、代金回収と作業が連続していきます。
 仕事の停滞が見つかる着眼点としては、一つの作業が次の作業に移動するときに問題があることが多いようです。例えば、営業から製造への出荷数量の連絡が遅れる、変更が頻繁にあるなどが残業につながります。段取りが悪く待機時間が多い、品質検査が手作業のため残業が発生する、営業部門からの連絡が遅く、請求書発送が遅れるなどは、どこにでも発生する日常的な問題です。

(3)仕事が集中するのは、毎日か、特定の日や週、どのような仕事かなど細かく分析し問題点を把握します。

4.残業時間削減は生産性向上と一致する

このような実態の把握を進めていくと、残業時間の削減は、仕事の効率化につながっていることに気付くはずです。残業時間問題に取り組まなければならないポイントはそこにあります。日常業務に潜んでいる無駄、連携や情報不足などの是正を通じて生産性を上げることに直結しているのです。この点を全社員に認識させることが最も重要です。

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