今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2009年12月号
- 食品卸をしています。これまで、長年取引をしていた食品加工業者から後継者がいないから、その会社をM&Aで引き継いでくれないかと相談された。
- M&Aで活性化する
一、中小企業でもM&Aが盛んに
いよいよ、本格的に中小企業でもM&Aが盛んに行われるようになりました。しかし、物品を購入するように「何かよい売り物はないか」と探し回るわけにはいきません。また、簡単にM&Aで買ったとしても、ほとんどの場合は失敗に終わってしまいます。
しかし、M&Aにより格段に業容を拡大している企業もあります。どこに成功の鍵があるのでしょうか。
二、M&Aは上下に妙味あり
大企業間のM&Aがマスコミを賑わしますが、ほとんどのケースで、同業者間や競争業者間とのM&A、いわば横の関係の中で、規模拡大を目的とする場合が多いように感じられます。
しかし、中小企業の場合は、規模拡大を狙って行うのではなく、身近な取引の縦の関係、製造業が卸売業、小売業と、小売業が製造業とのM&Aなど、いわば自社取引の流れの中で検討することが本筋だといわれます。
考えてきますと、これらの取引関係は、当社が得るべき付加価値が、仕入額や外注費として社外へ流出していることですから、M&Aにより、これまで流出していた付加価値を当社の中に取り組むことになります。
したがって、規模拡大を目指すよりも付加価値の増加を目的とするというわけです。
- どのような手順で行ったら良いですか
- M&Aが成功するためには当事者が直接行うよりも、経験豊富な第3者が中立的な立場で進めていくことが必要だと考えられます。
一、財務デューデリジェンスを行い弁護士や会計事務所等が連携しながら話を進めます
まず、通常の手順としては、財務デューデリジェンスを行います。簡単に言えば、売買価格を決めるために、その企業の時価による財産価値と営業権の評価をすることになりますが、残念ながら、中小企業の場合、ほとんど、評価額は出ません。
そのほか、現在の役員の処遇、従業員の引き継ぎ、借入金の返済方法、取引先の引き継ぎなどいろいろな問題が発生しますが、弁護士や会計事務所等が連携しながら話を進めていきます。
また、中小企業のM&Aがなかなか進まなかった理由の1つが、買収のための資金調達が困難なことでしたが、新設された経営承継円滑化法では、その点についても、支援することが明確化し、今後、中小企業でも十分活用できそうです。