今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2011年1月号
- 月次試算表のスピード化を指示しましたが、経理部門の抵抗が強く軌道に乗りません。
- 試算表のスピード化は、業績を素早く読取り、問題の解決につなげることですから、その重要性を経理部門だけでなく、全社員に共通の認識として持たせる必要があります
一、まず何から準備すべきですか
経理部門の抵抗は、取引先の締め日がバラバラであり、更に、社内的にも精算伝票が遅れがちのため、出来ないという点にあります。
従って、その点は、経営者の強いリーダーシップにより、部門間の協力や各取引先への交渉で乗り切るしかありません。
売上先には、当社サイドからの申し入れで、ほぼ、解決できると考えられますが、問題は、商品、材料等の納入先です。
強力な納入先では、むしろ、先方企業の締め日に、当社自身が、合わせざるを得ない場合が多いようです。
その場合は、とりあえず概算額で計算し、後日、請求書等で修正する方法が採られています。
月次試算表は、法律で、ガチガチに決められているものでは無く、例えば、小口取引先については、現金主義で対応するなど臨機応変な解決策が求められます。
要は、会計処理の正確性と経営的視点からの経理情報のスピード化とのバランス感覚が重要です、しかし、いったん、決められたルールを継続的に守っていくことも大切なポイントです。
なお、減価償却費等は、月割りの予定額を計上します。
二、 60%の確実性と10%の決断、10%の勇気
月次データーを報告だけに留めず、業績の変化を察知し、素早く対応することが目的です。
この場合に重要なことは、問題点の発見と原因を掘り下げて改善の糸口をつかむことが重要です、この場合の技術が「4回の何故」の繰り返しと云われています。
たとえば、売上が、減少したことを確認したとして、どの商品が、また、どの地域か、どの部門か、更に細分化し、どの取引先か、どの営業担当者か、更に、3回目の「何故」は、売上数量が落ちているのか、販売単価が落ちているのか、4回目の「何故」は、競合業者との競争で負けているのか。
その原因は、価格か、サービスか、決済条件か。ここまでのいくつかの事実を積み重ね、売上減少の「仮説」をたててみます。
そして改善策とその実効性、仮説と検証の試行錯誤を何回も繰り返しながら問題の本質を把握します。
経営に絶対はありません。改善策に、60%の確信が持てたら、現状を変える決断と勇気の出番です。
月次試算表のは、直面している問題点を改善していくため、の素早い経営判断と勇気を求めているのです。