今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2010年6月号
- 道産品の通信販売と贈答品の納品をしています。しかし、売れば売るほど赤字が累積してきます。
一、仕入価格だけが原価ではない。
損益計算書では、売上総利益率は35%もあり、同じ道産食品の販売業者より10%も高くなっています。
「これでなぜ赤字なのか」と疑問のようですが、回答は、一般管理販売費にあります。
当社の場合、一般管理販売費のうち人件費を別とすれば、大きい支出額は、包装費、運賃、広告費、支払手数料、倉庫料です。これらの経費は、一般管理販売費に入れて表示されていますが、本来は、商品の販売量に比例し直接増加する経費です。
本来は、製造業や建設業と同様に、売上原価に入れ、その上で、売上総利益として表示されるべきものです。
当社の場合、これらの経費の合計額が18%もありますから、本来、売上総利益率は、損益計算書の35%では無く、このような販売に直結して増減するコストを差引いた17%で計算すべきなのです。そうすると、同業者の23%という売上総利益率よりも著しく低い利益率だと云うことがわかります。
しかし、現在の会計の世界では、通常、これらのコストは一般管理販売費に入れて表示しますので、問題点が見逃されてしまうのです。
- 廃棄処分の商品が売上の3%もあります。
二、利益のための必然が廃棄処分
利益を上げるために廃棄処分は、やむを得ないと考えられる場合も多いのです。勿論、廃棄処分を少なくする努力が前提ですが。
なぜならば、廃棄処分を全く無くすることは、注文があっても売る商品が無いということを前提とすることになります。
この場合の損失額は、売上高ではなく、売上高から売上原価を引いた差額です(前述の通り、仕入単価に直接経費を加えた金額が売上原価です)売上から売上原価を差引いた残額を限界利益と云いますが、品切れで失った利益は、ここで云う限界利益です。
一方、商品が売れ残った場合に生ずる廃棄損失は売上原価です。結論を急ぎますと、品切れで失った限界利益と廃棄処分で失った売上原価を比較して、どちらの数字を採るかという問題です。
失った限界利益が大きいと判断出来れば、廃棄損失は利益を上げるための必然的なコスト考えられます。
三、売上総利益率よりも売上総利益額
企業の最終的な利益は、売上総利益から諸経費を差引いて算出されます。
経営者が考えるへきは、すべての経費や借入金返済を行うためには、いくらの売上総利益額が必要かと云うことであり、売上総利益率が高い、低いでは無いのです。