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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2017年9月号
仕事の効率化―結果の見える化を出発点に

「働き方改革」を実践すべく従業員に具体的提案を求めましたが、全く反応が無く戸惑っています。

1、働き方改革は会社のためでなく自分自身の生活改革であることを認識させる

「働き方改革実現会議」が政府によって設置され、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入などが議論されています。もっぱら経営者の問題のように言われていますが、手段と目標が混同されているように感じます。本来は、職員個々人が自分自身の働き方を自ら改革し、生じた余暇を子育てや趣味、勉強にあてるなど、生活の質を高めることにあるはずです。AIやロボットなどにより労働環境が大きく変化する中で70歳定年制が議論されていますが、10年後、20年後も現在のような仕事の中で耐えていけるのでしょうか。

2、一人ひとりに具体的に考えさせる

仕事の効率化は会社全体の問題であると同時に個人の問題でもあります。業務内容、職位などによって効率化の視点が異なるからです。例えば、全社統一した退社時間を決めても、仕事の内容はそれぞれ異なりますから、上から目線で指示したとしても結果的にサービス残業につながるだけです。反対に、具体的な効率化の実行方法を各人が考え、提案してもらうことにより、その実効性を大き保つことができます。自分が決めたことに対しては実現したいという心理的要因が働くからです。惰性的に行ってきた―つひとつの仕事のやり方を各人が個別に見直す姿勢が必要なのです。働き方改革に抵抗を示す代表的な症例についていくつか考えてみます。

(1)自分の守備範囲を固く守り、誰にも口出しさせない「抱え込み症候群」
(2)やることが多くて時間が足りないということに生きがいを感じる「思い込み症候群」
(3)残業を前提とした仕事をしている「効率無関心症候群」など。

3、タイム・イズ・マネーを考えさせる

生産性向上のためにITの活用や省力化が有効であることは論を持ちませんが、同時に全員がそれぞれの仕事のやり方を検証して、少しでも効率化を進めていくことが重要です。全ての仕事は、時間を下敷きにして行っていますが、企業にとって時間はコストであることを再認識してもらうことが必要です。この仕事は現在30分を必要としているが、5分短縮するためにはどこを改善すれば良いのか、10分、退社時間を早めるためには何をしたら良いのか、などの思考回路を身に付けさせることです。

現在、週休2日制導入企業の月平均労働日数は20日を切っています。有給休暇年5日を強制的にとらせることなども検討されています。仕事の効率化はこれまでと次元の異なる時代に入ったのだという認識を持ちカイゼンに取り組むことが必要です。

(1)無駄な時間を分析してみる

「タバコで一服」を考えてみましょう。喫煙所まで往復5分、喫煙時間5分として1時間に1回、1日7回(昼休み1回は除く)として合計1時間10分のロスです。友人からの電話、メールによる仕事の中断時間、訪問先への移動時間など細かく見れば、利益に全く関係がない時間、関係はあるけど利益を生まない時間などロスタイムは思った以上に多く、改善の種は十分すぎるほどあります。

(2)やらない仕事を決める

会議の目的は何か、回数、時間、参加者などを見直す、そのコピーは、誰が、何の目的で行っているか、その報告書の提出は意味があるのか、なぜ、なぜ、なぜ、と全ての仕事を疑ってみましょう。「やらないことを決めること」が最初に行うべき効果的な方法です。もちろん、絶対に必要なことを省くことはできません。

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