今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2017年8月号
残業を減らせ(3)―全員参加の仕組みをつくる
1、あいまい言葉に注意
職場での問題解決は具体的な目標数値や期限を決めて、誰が、どのようにして、誰と解決するかを検討することが効率的です。残業対策についてもその例外ではありません。その上で、結果をチェックし、さらに改善を進めていく仕組みを職場に定着させることが必要です。単にスローガンによる努力目標だけに終わっては、実効性の伴った改善はできないと考えられます。
<職場内の次のあいまい言葉は要注意>
(1)頑張ります
(2)努力します
(3)検討します
(4)対応します
(5)撤底します
例えば、「佐藤さん、あなたの仕事を午後8時までに終わらせるためには、どのような工夫と、それを妨げているどのような問題の解決が必要か7月15日までに報告してください」と指示すれば、数値的な目標、期限、本人の積極的なインセンティブ、報告日などが具体的に決められています。後は進行状況を把握しながら、アドバイスしたり同僚が支援したりと、他部門との連携などを絡めたPDCAのサイクルの枠の中に入っていきます。
2、消極的な職員を責めるのではなく協力できる仕組みづくりの工夫
(1)仕事の全体像を把握させ、体験させる
自分流の仕事にこだわり他人の介入を嫌がる人がいます。任せておけば本人も満足し、それはそれで意味があるのかもしれませんが、仕事の効率的な流れを阻害していることが多いようです。このような場合の意識付けには他の仕事を体験させることが効果的です。自分の仕事が、全体の中で、どのような関連をもっているのか具体的に体験させ「自分最適、全体不適応」の現実を自分の目で見て納得してもらうことです。
(2)仕事を分解してムダを分析
例えば営業担当者の仕事を考えると、事前の情報把握、営業計画案の作成、上司による承認、アポ取り、面談、契約、報告書作成、他部門との連携、アフターフォローなどいくつかのプロセスを踏みます。そこで、そのプロセスごとにさらに業務を細分化し、なぜその仕事が必要か、どんどん深掘りしていきます。
(3)廃棄する基準を明確化する
総務や経理部門ではコピーなどの資料の山になっています。コピーした書類の90%がその後使用されることはなく、残りの10%も3カ月を経過後は全く利用されないという調査結果があります。法定資料は別として、長期間保存する資料は全体の2%に過ぎないという調査結果もあります。また、これも電子化して保管すれば、コピーをとる時間、保存スペース、必要資料を探し出す手間など一連の作業は大幅に削減されます。コピーについては、前からの慣習でなんとなく決まっているものも多いようです。ルールがあったとしても定期的に見直すことや廃棄基準の明確化などによって、全員が必要な仕事と、もはや意味のない・または必要性が薄い仕事を仕分けていくという意識付けが重要です。
(4)横串を通す
時間外労働の削減には特定の人の特定の仕事を軽減することも着眼点です。特定の人への仕事の集中は、周囲の人や他部門との連携によって解決することも多いようです。このためには、従業員の誰もが主たる仕事のほかに、他の仕事もできる多能工のような仕組みをつくることも重要です。横串を通すということは、周囲とのコミュニケーションの強化により連携体制を構築するということです。