今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2009年8月号
- よく取引銀行から月次試算表を求められますが、決算報告書で充分ではないのでしょうか。また、私自身も、どこを、どうチエックするのか、よくわかりません。
- 試算表は業績推移をいち早く察知します。
一、極言すれば決算報告書は過去の結果を示しているに過ぎません。
経営で最も重要なことは、いま現在、我が社に、どのような問題が発生しているのか、把握し、一刻も早く、手を打つことが重要です。
このためには、現状を率直に示す試算表の役割はきわめて大切です。単に、合計額が合っているから安心だと云うのでは、経営者失格です。
二、月次試算表でチエックすべき項目
このような試算表の経営的役割を重視すれば、試算表が、2ヶ月も3ヶ月も後に完成しても、全く意味がありません。出来れば、翌月10日ころまでに作成出来ることが経営改善の第1歩です。
(1) 次に主要科目の残高の確認が必要です
預金残高や借入金残高は、通帳や償還明細表で、売上債権、買入債務等は、補助簿、請求書等で実際の残高と一致しているかどうかをチエックします。
(2) 売上高と利益の確認をします
計画売上高や前月売上実績に比較して、どのような傾向があるのか、3ヶ月連続して売上実績が下回っている場合は、迅速に営業戦略の立て直しに着手する必要があります。また、利益の確認も同様ですが、毎月、在庫調査をしてしない場合は、推定在庫を挿入し推定利益を算出し、計画利益との増減差をチエックしましよう。
(3) 現金(当座預金、普通預金を含む)は月商の2ヶ月分が安全圏です
現金残高が、3ヶ月連続して減少している場合は業績は明らかに変調しています。早急に対策を検討します。
(4) 運転資金増減額の確認
運転資金は、(売上債権+在庫-買入債務)で計算され、その差額が必要運転資金ですから、この差額が大きくなれば、やがて資金が不足してきます。この状態を放置すれば、資金窮迫の事態が迫ります。売上債権回収強化や在庫圧縮に早急に対処しましょう。
(5) 雑勘定の増加に目を光らす
仮払金、貸付金、前払金、仮受金等を雑勘定と云いますが、管理水準を示すバロメーターとも云われます。この増減理由を明確にし、残高の圧縮を図りましょう。
収支計画、資金管理計画等があれば、試算表の重要性は、より鮮明になると考えられます。
※上記の相談は、当事業所に寄せられる数多くのご相談の内の一つです。当事業所では、様々なケースのご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。