• HOME
  • > 今月の相談コーナー

今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2017年3月号
税制改正 中小企業、サービス業にも目配り

29年度税制改正と言われても、われわれのような中小企業には関係ありませんよ。

1.経済のサービス化と税制改正

29年度税制改正は、配偶者控除の対象が150万円までに拡張されたことだけが取り上げられていますが、特に中小企業、サービス業や小売業への気配りなどの改正点はいくつも見られます。法人税は相次ぐ減税により、利益に対する税収が大きく落ち込んでおり、2020年のプライマリーバランス均衡化の実現が危うい原因の一つとも言われています。

経常利益と法人税の増価額比較
02年~07年
(経済好調期)
経常利益22.5兆円増加
法人税収 5.2兆円増加
11年~15年
(現在)
経営利益 24.5兆円増加
法人税収 1.8兆円増加

(日本経済新聞1月28日)

これまでの税制改正は、どちらかと言えば大企業、特に製造業に特化した減税が中心で、中小の小売業、サービス業などはあまり恩恵が無かったような印象があります。しかし、経済のサービス化が進む実状に合わせ、税制改正も中小企業やこれらの業種の振興に大きく舵をきってきたように見受けられます。

札幌市の産業構造は特に製造業が少なく、第3次産業が全体の75%を占めており、景気動向はこの景況に大きく関わっています。税制のこのような変化にさらに注視していく必要があると考えられます。

2.経営強化税制に注目

今回、新たに制定された経営強化税制は、平成31年3月31日までの時限措置ですが、資本金3千万円以下の中小法人を対象に適用され、業種的にもサービス業、販売業にも十分活用できる内容です。現在、具体的な手続きの詳細は不明な点もありますが、主なる項目は次の通りです。

(1)償却資産税の減免措置

現在、建物付属設備、機械装置、器具備品などに償却資産税(固定資産税)が課されていますが、これらの設備投資を新たに行った場合、償却資産税を3年間2分の1に減免する制度が導入されました。そのために必要な資金繰りや補助金などの助成も含めて対応するとされています。

(2)商業、サービス業活性化税制

商業、サービス業の経営改善のため、新たに建物付属設備、什器備品などの投資を行った場合、取得価額の30%の特別償却か、7%の税額控除かの選択適応を認めます。

【主なる対象設備】
①60万円以上の電気設備、冷暖房設備、店用簡易設備、可動間仕切りなど
②1台30万円以上の家具、電気機器、ガス設備、看板、理美容器具など(ただし、中古品、貸付用品は対象外)

(3)中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制として新設された制度で、機械装置中心の従来の制度に加え、建物付属設備、器具備品を追加し、サービス業などにも利用できるよう変更されます。この制度は即時償却か7%の税額控除か選択でき、適用には次の2つのいずれかに適応することとされています。

①生産性向上設備(A型)は従来設備の更新による1%以上の生産性の向上を目的とする。
②収益力向上設備(B型)は投資利益率5%以上の実現を目指す設備とする。
③中小企業等経営強化法の認定が必要

なお、これらの制度の利用には商工会議所、金融機関、会計事務所など、中小企業支援機関の認定が必要です。この際、経営力強化のきっかけとしたいものです。

お問い合わせはこちらからどうぞ

このページのトップへ

過去の記事

【2018年2月号】
労働環境の大転換期を迎える(2) 残業時間の削減に取り組む
【2018年1月号】
労働環境の大転換期を迎える(1) 働き方改革と生産性向上
【2017年12月号】
相続税への招待(3) 不動産評価の物差しを考える
【2017年11月号】
相続税への招待(2) 相続財産の評価
【2017年10月号】
相続税への招待(1)
【2017年9月号】
仕事の効率化―結果の見える化を出発点に
【2017年8月号】
残業を減らせ(3)―全員参加の仕組みをつくる
【2017年7月号】
残業を減らせ(2)―ムダを探せ
【2017年6月号】
残業を減らせ―どこから手を付ける(1)
【2017年5月号】
金融機関との取引関係を検討する
【2017年4月号】
残業時間削減のスタートを切ろう
【2017年3月号】
税制改正 中小企業、サービス業にも目配り
【2017年2月号】
社長、最近、評判悪いっすよ
【2017年1月号】
良い赤字と悪い赤字の法則
【2016年12月号】
節税の出発点 生前贈与
【2016年11月号】
この預金は誰のものだ 相続税その3
【2016年10月号】
前回に引き続き相続税の基本的仕組みについて説明してください。
【2016年9月号】
ある日突然―相続税に悩む
【2016年8月号】
城は石垣、石垣は人
【2016年7月号】
数字は魔物
―固定費は変動費に変動費は固定費に変身する
【2016年6月号】
見えない顧客を探し出す
【2016年5月号】
早わかり、中小企業の税制改正
【2016年4月号】
金融機関との間合いを詰める
【2016年2月号】
悪循環から好循環への転換
【2016年1月号】
消費税軽減税率を考える -1-
【2015年12月号】
最低賃金のアップに泣く
【2015年11月号】
情報が情報を集めて思考停止
【2015年10月号】
支払いを急がない経営体質をつくる
【2015年9月号】
勘違いの経営判断
【2015年8月号】
給与はコストですか
【2015年7月号】
マイナンバー制度と中小企業の実務対策
【2015年6月号】
現場のことはパートさんに聞け
【2015年5月号】
平成27年度税制改正と格差社会
【2015年4月号】
困ったときはボスの顔を見る
【2015年3月号】
顧客は見ている
【2015年2月号】
この不条理な現実にたじろぐ
【2015年1月号】
経営の視点、将来の時点から現在を観る
【2014年12月号】
老舗企業の後継者 誇りと埃と焦りから
【2014年11月号】
金融機関へのラブレター 月次試算表
【2013年5月号】
税制を経営戦略に取り込む
【2013年4月号】
経営者は何故、失敗をするのか
【2013年3月号】
月次試算表で何を把握できるか
【2013年2月号】
金融円滑化法の終結
金融機関対策の再検討 その2
【2013年1月号】
金融機関対策の再検討を検討しよう その1
【2012年7月号】
相続税---大金持ちから小金持ちへ。
【2012年6月号】
知っていますか、顧客心理の常識、非常識。
【2012年5月号】
甘くないケーキのお話
【2011年7月号】
損益分岐点分析を楽しむ--その3
【2011年6月号】
損益分岐点分析を楽しむ--その2
【2011年5月号】
損益分岐点分析を楽しむ--その1
【2011年4月号】
建設業です。売上高が半減していますが従業員を抱えて四苦八苦しています。
【2011年3月号】
2、3年ぶりに、新入社員の入社が決まりました。何とか定着して欲しいのです。どのように接すべきですか。
【2011年2月号】
取引先から、後継者がいない自分の会社を買わないかと云われています。
【2011年1月号】
月次試算表のスピード化を指示しましたが、経理部門の抵抗が強く軌道に乗りません。
【2010年12月号】
1年ほど前に、取引金融機関に中小企業金融円滑化法に基づくリスクを申込み、1年間の返済猶予をして頂きました。しかし、本年の3月から、当初契約通りの約定返済に戻ることになりますが、業績も資金繰りも回復せず、返済をする余裕がありません。
【2010年11月号】
セーフティネット融資制度が、来年3月末で期限切れになると聞きましたが、この際、どのような対策を採ればよいのでしょうか。
【2010年10月号】
10月1日から、強制的に、新しく法人税にグループ税制が適用されると聞きましたが、何が、どう変わるのか良くわかりません。
【2010年9月号】
日航の厳しい再生計画をみるにつけ、当社においても、更に、基本から見直していきたいと考えています。
【2010年8月号】
婦人服販売業です。A社製品は売り足は速いが利幅は薄く、B社製品は売り足が遅いが利幅が高い。どちらを選択すべきですか。
【2010年7月号】
競合店の安売り攻勢に対抗し、それを上回る販売価額の引下げを検討しています。
【2010年6月号】
道産品の通信販売と贈答品の納品をしています。しかし、売れば売るほど赤字が累積してきます。
【2010年5月号】
前回、月次試算表の重要性を認識しましたが、その続きを聞きたいと思います。
【2010年4月号】
会計事務所から、毎月、月次試算表が届きますが、どのようにみればよいのですか?
【2010年3月号】
中小企業金融支援措置として、昨年12月に施工された「金融円滑化法」により金融機関の対応は、どのように変わったのでしょうか。
【2010年2月号】
飲食店ですが、客単価を下げて戦いたいと思っています。
【2010年1月号】
こんな不況の中では、どんな工夫をしても業績を上げることは困難です。
【2009年12月号】
食品卸をしています。これまで、長年取引をしていた食品加工業者から後継者がいないから、その会社をM&Aで引き継いでくれないかと相談された。
【2009年11月号】
修行のため同業他社に入社させていた長男を呼び寄せ、事業を引き継がせたいと思いますが、言を左右にして、なかなか承諾しません。
【2009年10月号】
郊外で洋食店を開業しています。なかなか顧客さんが増えず困っています。
【2009年9月号】
3ヶ月連続して現金が不足し、個人の預金を会社につぎ込んで帳尻を合わせています。
【2009年8月号】
よく取引銀行から月次試算表を求められますが、決算報告書で充分ではないのでしょうか。また、私自身も、どこを、どうチエックするのか、よくわかりません。
【2009年7月号】
融資を申し込んでから2ヶ月以上経過しているが、さっぱり進んでいないようです。どのように対処すべきですか?
【2009年6月号】
資金繰りで銀行に相談したら、セーフテイネット融資を勧められたのですが?
【2009年5月号】
大型ホテルの料金引き下げ攻勢で客足が落ちています。割烹旅館として自負しているだけに客単価を下げることには挫折感があります。
【2009年4月号】
近くの回転寿司店よりも「ネタ」が新鮮だし、価格もそれほど変わらないのに顧客さんが来ないのですが?